お金をかけない知育とは?図書館やおうちにあるものを活用した知育を紹介
知育とは
知育とは知能や能力や伸ばすための教育であり、知識を詰め込むことではなく、自発的に考える力を養うものです。成長著しい幼児期に、脳に良い刺激を与えることで子どもの知的思考能力を養うとされています。
現代社会では、自主的に考えて行動する自立型人材が必要とされています。知育は自分で考えて行動する力を伸ばすために有効です。また様々な活動を通して、脳の情報伝達神経を活性化させ、知的能力を上げられるといわれています。
少子化でも家庭の教育費負担は増えている
厚生労働省が発表している人口動態統計月報年計(概数)の概況によると、2022年に日本で生まれた子どもの数は77万747人。合計特殊出生率(15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計した数値であり、一人の女性が生涯で産む子どもの数の目安となる数値)は1.26です。少子化は深刻化しており、子どもの数はどんどん減っています。
しかし一方で、子ども一人当たりにかける教育費は上昇しています。文部科学省による、2021年度「子供の学習費調査」によると、公立小学校では2010年に30.4万円だった教育費が2021年には35.3万円へ、公立中学校では2010年で46.0万円だったものが2021年には53.9万円にアップしています。全日制公立高校でも2010年の39.3万円と比べ、2021年は51.3万円と、学校教育費、学校外活動費の両方でかかる金額が大幅に増えているのです。
また私立小学校でも2010年は146.5万円だった教育費が2021年には166.7万円に上がり、私立中学校では2010年の127.9万円から143.6万円にアップ。私立高校では2010年に92.3万円だった教育費が2021年に105.4万円に増えています。
他方で公立幼稚園では2010年に23.2万円だった教育費が2021年に16.5万円に、私立幼稚園でも2010年に53.8万円だった教育費が2021年には30.9万円に下がっています。
このように無償化がスタートした幼児教育を除き、小学校~高校のすべてで、2010年から教育費が増えていることがわかります。
大きな要因として、大学に入学する人が増え、高校や大学の学費が上がったことが挙げられます。また、私立の学校に通う子が増え、受験対策の塾や知育、アート、スポーツなどの習い事など、学校外でかかる費用もかさみ、教育費が膨らんでいる状況です。子育て家庭はなかなか上がらない給与水準に比べ、上昇する教育費に苦しめられているといえるでしょう。
厚生労働省|令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/gaikyouR4.pdf )
文部科学省|子供の学習費調査2.調査結果の概要
(https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-100012573_3a.pdf )
お金をかけずに知育はできるのか
子どもの教育にお金がかかる昨今、お金をかけずに知育をすることは可能なのでしょうか。そもそもの知育の本質は知能を伸ばし、子どもの能力を開花させることにあります。玩具や教室ありきではなく、工夫して子どもの知能を刺激し、能力を鍛えることを意識して生活すれば、十分に知育としての意義があるといえるでしょう。
また、親が張り切って購入した高価な知育玩具で、子どもが思うように遊んでくれないことも考えられます。購入を検討する場合でも、その知育玩具にどのような意図があって、何ができるものなのかを見極め、手作りのものや安価なもので代用できないか工夫するのもおすすめです。
お金をかけない知育とは
ここからはお金をかけなくてもできる知育のポイントをご紹介します。
図書館を利用する
お金をかけない知育の強い味方となるのが、図書館です。絵本の読み聞かせを通して、正しく美しい日本語に触れられ、自然と豊かな語彙力や表現力を身につけられるでしょう。
成長するにつれ、自分の伝えたいことを言葉にするときや感情を表現するとき、言葉の力はとても大切です。正しい日本語は読解力や想像力につながる土台となります。
図書館では無料で本や絵本を借りられます。お金をかけなくてもたくさんの本に触れられ、知育の強い味方となってくれるでしょう。
知育につながるイベントに参加する
博物館などでは、子どもが参加できる講座を開設していることがあります。筆者の住むエリアの博物館では、押し花作りやクラフトなどの工作系をはじめ、植物標本や昆虫標本作りや稲刈り体験、渡り鳥の飛び立ちの観察会など、ユニークなものも見つかりました。
幼児向けのクラシックコンサートやアート、スポーツイベントなど、全国でも多くのイベントが開催されています。自治体が運営しているものなどは比較的安価で参加できる場合も。人気のイベントは人数制限や抽選になる可能性もありますが、子どもと体験してみたいことや子どもが好きそうなイベントがあれば、ぜひ申し込んで参加してみましょう。
おうちでの工夫
おうちにあるものや、100円ショップなどで買える安価なものを使って、知育につながる活動を子どもと楽しむこともできます。シール貼りや、折り紙、色水遊びやビーズつなぎなど、巧緻性の向上につながる遊びを、普段の生活に取り入れてみましょう。折り紙で作ったものを生き物に見立てて遊べば、想像力をかきたてる活動にもつなげられます。
洗濯物たたみやほうきを使った掃除、ぞうきんしぼりなどの日常生活の練習は、モンテッソーリ教育と呼ばれる教育法で大切にされており、手指の発達や心の発達に役立ちます。また、お散歩の途中に看板や地図を眺めて文字や数字に触れるなど、おうちや身の回りにあるもので工夫し、子どもの考える力を伸ばしてあげましょう。
インターネットの活用
使いすぎや依存症が心配されることもあるインターネットやスマホ、タブレットなどの情報端末。しかし、インターネットは使いすぎに注意しながら活用することで、知育にはメリットのある存在です。興味関心に応じた動植物の動画や写真を見たり、知育アプリを利用して学ぶ楽しさを知ったりと、使い方は様々。辞書や本にはない動きや音のある情報に触れられ、文字だけでなく感覚的に学ぶ体験ができます。
本ではわからなかった折り紙の折り方を調べたり、幼児向けの外国語動画を見たり、様々な情報にアクセスできる利点をぜひ活用してみましょう。
総務省|上手にネットとつきあおう!安心・安全なインターネット利用ガイド|第4章①スマホなどを使わせるメリットは?
(https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/preschool/nayami/1/ )
お金をかけなくてもできる!年齢別の知育で意識したいポイント
ここからは、年齢に応じたお金をかけない知育のポイントを紹介します。
0歳児
0歳児から1歳になるまで、子どもは視覚や聴覚、触覚など様々な刺激を受けて成長します。「おはよう」や「おやすみ」などの挨拶や、お散歩で目に入るものを言葉で伝えるなど、率先して声かけをしたり、赤ちゃん用の絵本を読み聞かせたりしてあげましょう。
お座りができるようになったら、ミルク缶を再利用し、ホームセンターで購入できる排水口用のゴムのふたを用意して被せ、中に物を落とす遊びをさせるのもおすすめです。目で見たものを手でつかんで落とす、という一連の動きが指先や視覚の発達を促します。
1~2歳児
1~2歳ごろになると、子どもの自我が芽生えてきます。身の回りのものに興味や関心を持ち、意欲を持って行動することが増えてくるでしょう。このとき子どもが何に興味を持っているか観察し、寄り添うことが大切です。成功体験を増やして、できた!という感覚を養うことも意識しましょう。がんばる力が身につきます。
また、積極的に手づかみ食べをさせて、手の感覚を養いたい時期です。食材をつかみ、口に運ぶことで手先が器用になります。
100円ショップなどで購入できる大き目のビーズと、伸縮する太めのテグスを用意して、ビーズつなぎをしたり、積み木や簡単なパズルにチャレンジしたり、指先を使う遊びをしましょう。ままごと遊びや乗り物遊びで、言葉のやり取りをしながら手足を使うのもおすすめです。
読み聞かせる絵本は色彩やリズムが楽しいものや、短めのお話があるものもいいでしょう。言葉に触れる機会を意識して持てるといいですね。
3~5歳児
3歳ごろになると、保育園や幼稚園に通う子が多くなります。子どもたちを取り巻く環境が大きく変化し、子どもの社会が広がっていきます。
3歳から5歳ごろに意識したい知育のポイントは、時計、数、季節、天気、文字です。お風呂で数を数えたり、家族でおやつを均等に分ける方法を考えさせたり、日常の中に数字の概念が身につくような機会を取り入れましょう。
雨や晴れなど、天気を話題に取り上げることで、子どもに注意や気づきを与えます。天気予報を見て次の日の服装や靴を考えるのもいいですね。子どもとカレンダーを見て、日付や季節について話したり、お散歩の際に季節の植物を楽しんだりするのもおすすめです。桜を眺めたりドングリを拾ったりすることは、子どもの心に残る思い出にもなるでしょう。
絵本は興味関心のあるものを中心にどんどん選び、図鑑や物語なども読むようにします。読書は学力の基礎となる読解力を養い、想像力を豊かにしてくれるものです。幼いうちから図書館に通って好きな本を選ぶ習慣があれば、そのまま読書が好きな子に育つでしょう。図書館はお金もかかりませんし、定期的に子どもと楽しみながら通うのがおすすめです。
お金をかけない知育のポイント
では、お金をかけない知育において、親が意識しておくべきポイントをまとめます。
親も子も知育を楽しむ
知育は詰め込み教育や課題を絶対にクリアしなければならない、といった類のものではありません。大切なのは、子どもが自主的に楽しみながら取り組める活動を通して、自発的に考えて学ぶ姿勢です。子どもの興味関心や正しい難易度を見極めて、達成感を味わえるように支援しましょう。
そして、親も子どもと一緒に楽しんで取り組むことで、子どものやる気を長続きさせられます。親子のコミュニケーションやスキンシップを大切にしましょう。うまくいかないときもチャレンジしたことをほめてあげることで、失敗を恐れず前向きに物事に取り組める子に育つといわれています。
焦らない
知育に取り組むうえで親が気をつけなければいけないのは、焦らないことです。子どもが親の思うような知育に取り組んでくれないときや、取り組んだとしても成長ややる気が見られないときは特に注意しましょう。知育遊びを強制したり、やりたくないといった子を叱ったりすると、子どもは興味関心を失います。
子どもの成長は、その子が生まれ持った個性や性格が大きく関係するものです。他の子と比べたり、成長が遅いと嘆いたりする必要はありません。子どものペースに合わせて、楽しみながら取り組むのが自発的な成長を促す近道です。
さいごに
昨今、子育てにお金をかける傾向がありますが、お金がかからない方法でも、子どもの成長に役立つ知育は可能です。知育は子どもの知能や能力を伸ばし、人生を豊かにしてくれるでしょう。ぜひ記事を参考に、子育てに取り入れてみてくださいね。
参考サイト
- 厚生労働省|令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/gaikyouR4.pdf )
- PRESIDENT Online|「年3333冊ペース」全員東大医学部に入った子供4人に読み聞かせた絵本1万冊から超厳選12冊(https://president.jp/articles/-/57772?page=1 )
- 出水市ツル博物館クレインパークいずみ|イベントの案内(https://www.city.kagoshima-izumi.lg.jp/cranepark/info/index.html )
- chiiku Kab|(https://chiikulab.com/ )
- ICEモンテッソーリこどものいえ|モンテッソーリ教育とは
(https://www.ice-kodomonoie.com/method/ ) - 総務省上手にネットとつきあおう!安心・安全なインターネット利用ガイド|第4章①スマホなどを使わせるメリットは?(https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/preschool/nayami/1/ )
- PIQUALE|知育といえば玩具?お金をかけずに毎日を知育ライフに変える方法(https://piquale.net/blog/13854/ )
- KUMON|2024年度版公文の推薦図書一覧表 (https://www.kumon.ne.jp/dokusho/pdf/suisen.pdf )
- KEC個別指導メビウス|すぐ始められる!子供が本好きに育てる4つの方法|0歳〜小学6年生(https://www.mebius-kobetsu.jp/education/study-advice/3640/)