子どものお絵描き上達のカギは親のサポートにあり!絵画が苦手な子に考えられる原因と支援方法
絵が上手に描けない子に考えられる原因
まず、なぜ子どもが絵を上手に描けないのか原因をお伝えします。
目と手を同時に動かす力とイメージする力が弱い
絵を上手に描けない子どもは、手先が不器用な傾向があり、目で見ながら手を動かすというチームワーク力が弱いです。手と足、目と手など別々に働く機能を1つにして動かす運動のことを協調運動といいます。例えば、サッカーボールを目で追いながら足で蹴ることも協調運動です。この能力が未発達であると、絵を描いたり字を書いたりするのが上手にできないのです。
また、空間認知能力が未発達だと、描きたいものを頭の中でイメージすることが苦手で、絵が上手に描けないということが多くあります。
苦手意識をもってしまっている
一人ひとりの育った環境や経験は、集団生活や周りとの交流が多くなると、さまざまな得意・不得意や、興味・関心となって現れるようになります。絵を描くことに苦手意識をもっている子どもは、これまで多く絵を描いてこなかったり、大人や周りの子どもとの関わりの中で「自分は絵が上手ではない」と勝手に思い込んでしまったりして、苦手意識を持っている可能性があります。
未熟な観察力
絵の上手いと下手の違いに大きく関係しているのは観察力です。絵の上手な子は、対象となるものの特徴を瞬時に捉える観察力があります。
例えば、大きな桜の木を描こうとしたとき、絵が上手な子どもは木の幹を四角、木の枝から上の花の咲く部分を丸のように、桜の木を大まかな図形の組み合わせと認識しています。そして、桜の木を紙に描こうとしたとき、捉えた図形を思い出して桜の木として描いていきます。
反対に下手な子は、桜の木を紙に描こうとして頭に浮かんでいても、なぜか上手く描けないことがあります。それは、桜の木を1つのシルエットとして捉えていて、形の組み合わせとして記憶しておく観察力がないからです。絵が上手に描けない子は、ものの見方を教えてあげれば観察力が育まれ、絵を上手に描けるようになるでしょう。
子どもが絵を描くときのサポート
ここからは、子どもが絵を描くときにママやパパができるサポートの仕方を、いくつかご紹介します。
絵の出来をきちんと褒める
子どもの絵を見て「上手く描けたね」だけでもいいですが、魅力的な部分を見つけて具体的に褒めてあげると、子どものモチベーションが上がり、絵を描く楽しさを覚えるでしょう。例えば、「ここの色合いがきれい」のように褒める箇所を具体的に挙げたり、「ママはこのぬいぐるみが可愛く描けていて好き」というように、自分がどう感じたかを伝えたりして褒める方法も効果が期待できます。1番大切なことは、子どもが絵を描くことを楽しいと思えることです。
完成した絵に対してだけでなく、完成までの過程を褒めることもおすすめですよ。
絵を描くことを強制しない
子どもが絵を描くことは楽しい、絵を描くことが好きだという気持ちを持って取り組めるよう、子どものペースに合わせて無理やり絵を描かせないようにしましょう。絵には心理状態が反映されるといわれています。もちろん、上達するためにはたくさんお絵描きした方がいいです。しかし、強制したところで、上手な絵は描けていないでしょう。絵を描くことが嫌いになってしまう可能性もあるので、子どもから描きたいと思うまで見守ってあげるのがいいです。
ほかの絵と比較しない
子どもが描いた絵を、ほかの子が描いた絵と比べて評価することはやめましょう。絵を「描くことが楽しい・好き」と思っていても、周りと比較されすぎてしまうと自分の絵に自信が持てなくなってしまい、描くことをやめてしまいますよ。絵だけではなく、周りと比べてしまうことは、子どもの個性を否定することにつながってしまいます。自分の子どもが描いた絵としっかり向き合ってみましょう。
興味や関心を示してあげる
子どもの描いた絵に対して、「何を描いたの?」「どうしてこの色にしたの?」などとママが興味や関心をもったことを伝えてみましょう。ママに興味を持ってもらえるだけで、子どもは認めてもらったと感じることができるのです。また、絵から感じた感情を話してあげるのもいいサポートになりますよ。
基礎力は幼児期のうちに!
絵を描く基礎力は、対象物を丸や四角などの簡単な図形で捉え、パーツを組み合わせて描いていける力です。串に刺さったお団子の絵など、簡単なパーツを組み合わせて描けるような絵を描いているところを見せてあげたり、おにぎりを見せて三角形だねと会話をしたりするのもおすすめです。
「子どもに自由に絵を描いてほしい」「絵の描き方は教えるべきではない」と思いがちですが、プールで自由に泳いでいいよといっても、泳ぎ方を教わっていなければ泳ぐことができないのと同じように、絵を描くことに必要な基礎は小さな頃から身に付けてあげるといいでしょう。子どもは大人のマネをして成長していきます。絵を楽しく描いている姿をみせるだけでも、基礎力をつけることができますよ。
気を付けたい!子どものお絵描きへの声かけ
描いた絵に対して、「こうした方がよかった」「もっと上手に描けないの?」などといった声かけは絶対にしないようにしましょう。子どもの描いた絵に対して否定的な言葉を口にしてしまうと、それを聞いた子どもは苦手意識を持ち、自由に絵を描けなくなってしまいます。子どもの魅力である個性がなくなってしまう危険性も考えられるので注意が必要です。
もしも、子どもの絵をみておかしいなと感じることがあり、伝えた方がいいことであれば、否定的にではなく気づかせてあげるような声掛けを意識しましょう。
【体験談】子どもが絵を描くときのエピソードを聞いてみた!
子育て中のママさんに、子どもが絵を描いているときのサポート方法やどのような工夫をしているのかを聞いてみました。4つご紹介します。
絵を描くのが嫌いな息子だったけど・・・
保育園のお絵かきの時間がとにかく苦痛なようです。「〇〇を描いてみよう!」といっても、不服そうに1色でグルグルかいてささっと終わらせるのが気になっていました。家でお絵かきさせようとしても、嫌がって泣くことが多かったので、しばらくお絵かきすることを勧めずに、絵が得意なパパだけが楽しそうにお絵かきすることを繰り返していました。最初はパパの絵にも興味がないようでしたが、しばらくすると興味を示すように!
今度は一緒に描いてみようとしましたが、うまくいかずに「もうやりたくない!」と拗ねてしまうなんてことも。でも、ちょっとずつ描き方を教えるようにしたところ、ある程度描けるようになり、楽しくなってきたみたいで自分から「描きたい!」ということも増えました。
手の届くところにお絵描きセットを置いています!
私は子どもの頃、絵を描くことが好きでした。娘も好きになってくれると嬉しいなと思いつつも、強制はせずに娘がお絵描きをしたいと思ったときに遊べるよう、娘が自分で出せる場所にお絵かき道具をしまっています。
最近では意図的に何かを描こうとする様子が見られるようになり、何かを描いては「おばけ!でんしゃ!」と見せてくれます。つい「上手だね!」と声をかけてしまうのですが、「上手い下手を気にするようになってお絵かきが楽しめなくなってしまう」という情報を目にしたことがあったので、気をつけるようにしています。「丸が描けるようになったね!ダイナミックだねぇ~!おばけが楽しそうだね!」など、上手い下手や成果に関わらない部分を褒めるように意識しています。
何を描いたらいいか分からなくなってしまう息子
息子は、白い紙を渡されて「さあ好きな絵をかいてごらん」といわれると、固まってしまうタイプです。自由度が高すぎるとどうしたらいいのか分からなくなってしまうため、ある程度枠組みが決まっていた方が描きやすいようです。例えば、紙を指さしながら「ここにお友達を描いてごらん」「ブランコはここに描いてみたら?」と具体的にどこに何を描くか伝えてあげるようにしています。
描いて描いてと要求してくるときがあった!
息子のために買った画用紙にママである私が絵を描くことの方が多く、強めな言い方で「〇〇君が描くんだよ!」といってしまったことがあります。そのあとから、お絵描きしようと誘ってくれなくなり、クレヨンと紙から息子が離れてしまった気がしました。時間が経って、お絵描きブームが再来したので、またたくさんアンパンマンを描くのか~なんて思っていたら、今まではぐるぐる線を描くことしかできていなかったのに、丸を描いたり、自分で描いた絵に対してこれが目だよと説明してくれたり、自分の中で絵ができている様子が見られました。成長を感じたのと同時に、当時は私が描く姿をみて、描き方を覚えていたのかもしれないと思いました。
さいごに
上手に描けないお絵描きは、ママやパパのサポートで上達することもあります。上手に描けない理由を見つけ、子どもがお絵描きに興味をもったタイミングで声掛けなどのサポートを徹底してあげましょう。絵の上達には、「楽しく描く」ことが何よりも重要です。子どもが楽しく絵を描けるような環境をつくってあげてくださいね。
参考サイト
- 絵が苦手・絵が描けないのは発達障害の特性ですか?どう対応すればいいのでしょうか【お悩み相談室】 | パステル総研|(https://desc-lab.com/53900/)
- プロに聞くお絵かきが上手くなるコツ!上手・下手な子どもの特徴は?親の教え方は? | るるぶKids|(https://kids.rurubu.jp/article/92022/)
- 絵が苦手・絵が描けないのは発達障害の特性ですか?どう対応すればいいのでしょうか【お悩み相談室】 | パステル総研|(https://desc-lab.com/53900/)
- 東京台東区の発達障害なら浅草橋こども発達リハビリクリニック|日曜診療|協調運動障害 (asakusabashi-kodomo.com )
- 発達障害者の絵が下手なのには理由があった|子供の見える世界を理解しよう (houkago-media.com )